短編・連作小説 自炊

昼休憩から戻り、私は店内業務へ戻った。

「店長、お疲れ様です」

「川嶋さんもお疲れさま。お昼はちゃんと食べた?」

「はい。今日はコンビニで冷やし中華とヨーグルトにしました」

「お、健康的だね」

「暑いので夏バテしないようにしないと、と思いまして」

「俺は今日、自炊してきたんだよ」

「珍しいですね。何を作ってきたんですか?」

「おにぎり2つだよ」

「……それだけですか?」

「いや、あとはカップラーメン!」

笑顔で胸を張る店長に、思わず突っ込みが出る。

「炭水化物の塊ですね……」

「でもちゃんと作ってきたよ。立派な自炊だろ?」

「まあ……確かに自炊は自炊ですけど」

私は小さくため息をつきながら、つい口をついて出た。

「私もあまり人のことは言えないですけど……店長、野菜とか食べてますか? あと、帰ってからお酒ばかりとかじゃないですよね」

店長は頭をかきながら苦笑した。

「うーん……まあ、お酒は好きだしな。帰ったら大体遅いから、晩ごはんはお酒とつまみで終わる」

「それはあまりよくないですね」

「まあ今のところ、それなりに元気だからな〜。俺、あんまり風邪とかひかないんだよ」

呆れ半分、心配半分で店長を見た。

大丈夫かな……。年齢的にも色々気をつけた方がいいのに。

そう思いつつも、自分自身も気をつけなくてはと思った。

「じゃあ俺も休憩に入るね。引き継ぎは――これこれだから、よろしく」

「はい。お疲れさまでした」

「まあ、そんなわけで今日は裏にいるから、なんかあったら呼んで」

「ありがとうございます」

まあ余程のことがない限り呼ばないけど、この後は一人になるので、そういうところはありがたいなと思った。

良い人なんだよなぁ。

そうして私は、また業務へと戻っていった。

✨あとがき

店長との会話を通して、自分の食生活をふと振り返る。

誰かの生活スタイルを見て、自分も少し気をつけようと思える。

そういう小さなきっかけで食生活をその日は少し変えてみる。

でも続けられるかというと、上手くいくことの方が少ないです。

川嶋さんも、なんとなくそちらのタイプのような気がしました。